これだけはこころがけよう
  インフルエンザ&かぜ&新型インフルエンザ
    予防・撃退マニュアル

〜インフルエンザ予防が花粉症予防にも美肌にも効果〜

かぜ(風邪)

 かぜとはなにか

 「かぜ」という病気はなく、鼻水や咳、くしゃみ、喉の痛み、頭痛、下痢などの症状を伴う発熱状態を「かぜ症候群」と考えています。漢字では「風邪」と書きますが、これは体に害を及ぼす風を意味します。冷たい乾燥した風にあたると発症することから「風邪」としたものです。
 インフルエンザとかぜは異なるともいわれますが、以上の点から考えるとインフルエンザもかぜの一種といえます。しかし、一般的には表のように分けて説明されることが多いようです。
かぜ(風邪) 大部分がウイルス(ライノウイルスが多い)、細菌などの感染。感染力は弱い。主として接触感染 鼻水、鼻づまり、咳、くしゃみ、喉の痛み、頭痛、下痢などの症状を伴う発熱
インフルエンザ インフルエンザウイルスによる感染。感染力が強い。空気感染する 突然の38度以上の高温の発熱 強力な感染力、重症化する危険性あり

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 病院? かぜ薬? かぜの治療について

【受 診】
 医院、病院(特に内科や小児科)へは多くのかぜの患者が集まります。患者が感染しているウイルスはさまざまですから、病院内にはさまざまなウイルスが漂うことになります。治療を受けに行って、かえってウイルスに感染する危険があるのです。医師や看護婦はもっとも危険な立場にあります。本人がウイルス感染の危険にさらされているだけでなく、感染の媒介者になる恐れがあります。健康そうでも不顕性感染といって感染していても発病しない場合がありますから、医療従事者からうつされることがあるわけです。SARSの流行も医療関係者が広めたケースが多々ありました。医師がマスクをし、よく手を消毒するのは、自分が感染しないためだけではなく他の患者にうつさない意味もたいへん大きいのです。高熱が続くとかけいれんがひどいといった重篤な場合は別ですが、多少の発熱程度で医療機関に受診するのはひかえましょう。

【ワクチン、抗生物質】
 ワクチンはウイルスに対する免疫作りに役立ちますが、ウイルス株が合致しないと効果はありません。かぜの原因ウイルスは200種類以上といわれ、ワクチンはありません。
 抗生物質は細菌には効果がありますがウイルスには効果がありません。かぜの原因の80〜90%はウイルスですので、抗生物質を用いても効果がある確率はわずかです。しかも抗生物質を用いているうちに耐性菌を増やしてしまい、本当に細菌が侵入してきたときに抗生物質が効かなくなるという危険性があります。こうした理由で、抗生物質の使用はすすめられません。ただし、65歳以上の高齢者は致死的な肺炎にかかる危険性があり、条件次第では抗生物質の投与を考慮する必要があります。

【かぜ薬】
 いわゆる一般的かぜ薬(総合感冒薬)は、さまざまな症状に対する効能がうたわれています。つまり対処療法的な症状を和らげる薬です。自分の症状にぴったりと合っている薬ならばまだしも、自分の症状にない効能が記載されているかぜ薬は、不必要な成分を体に入れるということです。一般的に、薬は病気に対してはプラスに働いてもからだに対してはマイナスに働く作用を持っていますから、不必要な成分は体に入れない、なるべくなら薬を飲まないで済ますようにしたいものです。
かぜ薬に含まれる主な成分とその副作用
・エフェドリン
総合感冒薬や咳止め用 心臓を刺激し、血管を収縮させます。心臓に問題がある人には重大な副作用が問題になります。
・コディイン
総合感冒薬や咳止め用 便秘、吐き気、嘔吐、ふらつき、眠気、発疹、むくみ、耳鳴り、息切れなどの副作用がよくあります。さらに重い場合はすぐに医師へ。
・抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェニラミンなど)
総合感冒薬、咳・くしゃみ止め、鼻炎用
分泌を抑える作用があるため鼻水を止めますが、唾液が出にくくなったり(高齢者の場合嚥下しにくくなる)尿も出にくくなります。子どもの場合けいれんや脳症の副作用が問題に。

【解熱剤】
 インフルエンザの高熱に対する場合と同様に、ウイルスの増殖をかえって盛んにしてしまう恐れがあるので基本的には使わないほうがいいのですが、あまりにもつらいときにだけアセトアミノフェンを少量(体温を一気に下げすぎないように)使うことが推奨されています。

【中医学(漢方)】
 中医学では、かぜの初期症状を表のように4つのタイプに分けることができ、かぜのかかりはじめにそれぞれのタイプに適応した処方の服用を推奨しています。
赤いかぜ
(風熱型)
熱っぽい、のどが痛い、口が渇く、鼻水や痰は黄色く粘りがある、小水が黄色い 清熱抗菌作用がある金銀花、連翹、板藍根などが含まれている処方を用いる 天津感冒片など
青いかぜ
(風寒型)
ぞくぞくする悪寒、頭痛、鼻水や痰が水っぽい、小水が透明 体を温める葛根や発汗作用がある麻黄が含まれている処方を用いる 葛根湯など
黄色いかぜ
(胃腸型)
むかむかする、体がだるい、下痢症状 体に停滞している余分の水分を排出作用がある白朮やぶくりょうが含まれている処方を用いる。夏に多い 霍香正気散など
白いかぜ
(虚弱型)
症状は重くならないがくりかえしひき、なかなか治らない 衛益顆粒など

左より、葛根湯(準備中)、天津感冒片、霍香正気散(準備中)、衛益顆粒

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 治療に中医学(中国漢方)を用いるメリット

 漢方薬は成分を抽出したり合成する新薬と異なり、ある意味で成分が雑然としています。このことは、一つの成分が少ないということでもあり、効き目に鋭さがないことにもつながりますが、それが副作用の発生を防ぐ利点にもなります。効き目がマイルドだということです。インフルエンザウイルスの場合、熱を下げ過ぎるとかえってウイルスの増殖を助長すると述べましたが、一気に熱が下がる薬よりゆるゆると熱を下げる方がコントロールしやすく使いやすいわけです。
 一般のかぜ薬にはコディンのように眠気を催す薬が多いですが、葛根湯も天津感冒片も眠気を誘う作用はないようです。ドライバーに限らず眠気を催しては困る人も多いわけで、これも利点でしょう。
 そして何よりも莫大な臨床例に裏付けられているという安全性です。開発間もない新薬の場合、徐々に副作用報告を含めた臨床報告が蓄積されて、薬が改良されたり使用方法が定まっていくわけですが、よく使用されている薬でさえまだ知られていなかったような副作用報告がたびたび発表されることがあります。まだ薬の使用法が確立されていない段階にあるといえます。漢方薬といえども使用法を誤れば副作用はありますが、漢方をよく学び知識が豊富な人の指示に従えば、副作用はごくまれですし、あったとしても軽微です。
 漢方薬は、多くの成分が含まれているが故に成分分析に手間取っているようで、一部の医師は科学的根拠に欠けると批判していますが、科学的裏付けよりも、長年にわたり安全で効果も発揮して使われてきたという実績の方が、健康を守る上では価値があると考えられます。もちろん科学的根拠を軽視するわけではありません。現在では医療の中に漢方薬はなくてはならないものとして認識されているといってよく、漢方薬の科学的分析は各方面で進んでいます。ここに幾つかの研究を紹介しましょう。

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 予防3原則 ウイルスに近づかない、近寄らせない、抵抗力アップ

 かぜを予防する薬はありません。インフルエンザワクチンを接種してもそれはかぜの予防にはまったく役にたちません。ただし、漢方にはかぜを引きにくい体質にする方策があります。
かぜを引かないために
 ・人混みは避ける。
 ・からだが冷えるとかぜに対する抵抗力が落ちるので温かく過ごす。
 ・うがい、手洗い、目洗いを励行してウイルスや細菌が侵入する粘膜を清潔に。
 ・偏食をしない。特にビタミン類をしっかり摂る。
 ・免疫細胞を増やすため、十分に休養、睡眠を取る。
 ・体内の血液や水分、成分が体内を巡るように適度な運動を行う。
 ・免疫力(衛気)を高め、かぜに強い抵抗力をつける。

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 バリア・パワーのアップを

 かぜにかかると治りが遅くなるおそれがある高齢者や幼児、慢性疾患患者、かぜにかかった場合に新薬を飲むわけにはいかない妊婦、かぜで寝込むわけにはいかない立場の人、医師や看護婦、教師などかぜをひくわけにはいかない立場の人には、特にウイルスや細菌を排除する抵抗力(バリア・パワー)をつけておく必要があります。それにはインフルエンザの項でも紹介したように「衛気」を益すことです。
 衛気は、体表部を巡り異物の排除や冷風なども含めた外からの攻撃から体を防御しようという生体反応をコントロールするエネルギーで、衛気が増えて体を巡るほどインフルエンザやかぜの病原因に強くなります。
 衛気を強化する代表的な生薬は玉屏風散(商品名 衛益顆粒)ですが、その説明はインフルエンザの項で説明しています。実験の報告についてはこちらをご覧ください。
 中医学では「異病同治」といい、原因が同じなら異なるように見える症状も同じ方法で治します。かぜの予防を目的に衛気を盛んにすると、花粉症や喘息などのアレルギー症状の予防や改善効果が期待できたり肌がきれいになるというのも「異病同治」によるものであり中医学のメリットです。

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