藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第45回】

アレルギー体質の改善
鼻炎発作に「小青竜湯」

 冬も半ばを過ぎると、花粉症に悩まされる方はスギ花粉のニュースが気になり出します。秋には秋でセイタカアワダチソウなどの花粉症があります。ちょっと季節はずれかもしれませんが、今回は中国漢方による花粉症対策です。
 アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は、体質的な要因に根ざすものが多く、これに後天的な要因が加わったとき発症すると考えられています。アレルギー体質に、内分泌の変化、環境の変化などが引き金となって起こるということです。
 結論から言えば、花粉症を根治するには、アレルギ−体質そのものを改善することが一番の早道です。それとあわせて、クシャミ・鼻水・涙目などの諸症状をおさえるための対症療法を行います。東洋医学では、対症療法にあたるものを標治法、根本療法にあたるものを本治法と呼んでいます。
 そこで今回は、鼻水・鼻づまりなど、鼻炎の発作が激しい人のために、諸症状を抑える標治法を、次回で体質改善に取り組む本治法を紹介することにします。
 仕事にもさしつかえるほどの連発で襲ってくるクシャミと、みるみるティッシュの山ができてしまう猛烈な鼻水や目のかゆみ。このつらさは、体験した人でないとわかりません。
 中国漢方では、「気」「血」「水」の体内での循環を重視しており、これらの巡りが正常なら健康、循環が乱れると病気ととらえています。鼻炎に伴う鼻水、クシャミ、目のかゆみなどの諸症状は、いずれも水の代謝障害「水毒」によって引き起こされるものとしています。
 さらに、症状を中国漢方ならではの病気の見立て方「八綱弁証(はっこうべんしょう)」によって表すと鼻炎は鼻やのどの粘膜など体の浅い部分に現れる「表」の病気であり、水のような無色透明の鼻水は「寒」の性質を表していることから「表寒症」と診断します。
 表寒症に対する処方は、「表」に対する生薬と、体を温める生薬の組み合わせが基本です。アレルギー性鼻炎の対症療法における代表的な処方の一つに「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」があります。小青竜湯には抗アレルギー作用や体の水分を除去する作用のある生薬も含まれ、花粉症に対するファーストチョイスの処方としてよく用いられます。このクスリは飲んでも眠くならず、車を運転する人にも安心です。
 ただし、あまり多量に飲むと胃腸をこわすことがあるため、虚弱体質の人、胃弱の人、妊婦などは、小青竜湯の裏の処方で同じような薬効をもった「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」を用います。こちらは胃腸障害の心配がありません。
 
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)