藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第44回】

花粉症などのアレルギーは
過剰な体の“防衛反応”

 今回はアレルギー体質そのものを克服するための根冶療法を紹介しましょう。
 中国漢方では、病気を体の一部分の異常としてとらえるのではなく、体の調子が崩れたときに、その人の弱いところに表れるものだという独特の疾病観があります。人間(心)と体(内臓)、内臓と内臓などの相互関係を重視することから、バランスの医学とも呼ばれています。
 さて、本題のアレルギー性鼻炎です。
 アレルギー体質とは、つまるところ体の防衛反応の異常です。肺から侵入する花粉、ゴミなどの有害物質に対する防衛反応はだれにもあります。ただし、アレルギー体質の人は過剰に反応しすぎるため、味方であるはずの自分の体までも刺激して、皮膚や粘膜の炎症を引き起こしたりします。
 こうした体質の人は、一般的に呼吸器系が弱く、炎症を止める作用のある副腎(じん)皮質ホルモンの製造能力も低い場合が多いようです。
 中国漢方的なとらえ方でいえば、鼻アレルギーやアトピー性皮膚炎などは、「肺」の守備範囲に起こる病気です。空気の出入り口は「肺」のグループとしてまとまり、呼吸と防衛の働きを受けもつと考えています。それを後方から支えているのが、免疫および副腎などのホルモン系を支配している「腎」のグループです。
 中国漢方には「肺は気をつかさどり、腎は気をおさめる」という経験則があり、呼吸を肺と腎の共同作業と考えます。言い方を変えると、肺と腎いずれの機能が衰えても、他方に影響が出てくるということです。
 アレルギー性の疾患は、肺と腎のバランスの崩れが根底にあり、空気の出入り口、つまり肺の機能低下によって起こる病気は、腎の機能を高めることでしばしばよい結果が得られます。
 アレルギーの根治に用いられる方剤としては「八仙丸(麦味地黄丸)」がよく知られています。このクスリは、腎の衰え(腎虚)を改善する補腎薬の六味地黄丸に、肺の機能を高める麦門冬(ばくもんとう)五味子(ごみし)の二味を加えたもの。肺と腎にウイークポイントのある人の体質を強化する滋養強壮薬として作用します。
 花粉の飛んでいる間は、症状を抑えるための対症療法と体質強化・改善薬としての八仙丸をあわせて服用します。症状が軽減されても、体質改善薬としての八仙丸はしばらく続ける必要があります。あわてず、じっくり取り組むことです。
 
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)