藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第40回】

一連の消化器系の失調を
「星火健胃錠」で改善

 人は二本足で立つようになってから、内臓が下がりやすくなったといわれます。
 西洋人に比べて、胃の形が食べ物をため込みやすい鈎(かぎ)状をしている日本人は、とりわけその傾向にあるようです。
 そのせいか、胃下垂は医師に相談に行っても、体質として片づけられる場合があります。
 しかし、あきらめないでください。中国漢方では、西洋医学とは違ったアプローチから、胃弱や胃下垂による“もたれ感”や“下痢”といった特有の諸症状は改善できるものと考えています。今回は、働きの弱った胃腸を元気にするクスリの話をしましょう。
 中国漢方では、五臓のうち、消化吸収の中心臓器を「脾(ひ)」としています。胃に入った食べ物は、栄養分(精微物質)として吸収され、肺に送られ、気血となって全身をまわります。気は脾胃と密接な関係にあるわけです。
 この一連の作用を「脾の運化作用」と呼びます。この運化作用が失調すると、消化吸収がうまく行われなくなり、食欲不振、胃のもたれ、むかつき、下痢などの諸症状として表れます。同時に、食物中の水分も吸収運搬が難しくなり、水分の停滞をもたらしやすくなります。
 さて、その対策です。前回、体内の気が不足した、元気のない状態を「気虚」と説明しましたが、これのもっともよく見られるタイプが脾胃に表れる「脾気虚」です。
 この脾気虚を改善する代表的なクスリが、党参(人参)、白朮、茯苓・甘草の四味からなる「四君子湯(しくんしとう)」です。これにさらに脾胃を強化する半夏、陳皮の二味を加えたものが「六君子湯(りっくんしとう)」、さらにインドモッコウの根である木香と、ショウガ科シュクシャの果実である縮砂を加えたのが「香砂(こうしゃ)六君子湯」です。
 木香、縮砂は一種の香料で、香りの刺激によって胃の働きを促す作用をもっています。中国漢方的な用語でいうと「醒脾(せいひ)」であリ、眠っているような脾胃を活発にしてくれる作用をもっています。わが国には、中国製剤「星化健胃錠(せいかけんいじょう)」として輸入されています。
 脾胃の気のめぐりをよくすることで運化作用を促し、もたれや下痢などの諸症状を治め、ひいては脾気虚の体質改善に結びつけるというのが中国漢方の胃弱、胃下垂対策です。
 消化器系をたてなおすことで、体全体のけん怠感、息切れ、顔色がすぐれないといった状態も改善に向かいます。
 
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)
※次回は11月22日更新