藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第11回】

こわい血栓症の防止に
野菜・魚の食事療法


 読売新聞に、こんなショッキングな記事がありました。
 千葉脳神経病院には、最新鋭のMRI装置を使った、脳専門の人間ドックが併設されています。そこでの調査結果として、とりたてて自覚症状はなかったものの、100人中10人に脳梗塞の初期症状が見られたというものです。一般の人間ドックが行うCT検査で異常がなかったからといって、おちおち安心できません。
 近年、日本でも脳梗塞や心筋梗塞など血栓症の発病率が高くなっています。それらは、ある日突然襲ってきて、ときには死をも招く恐ろしい病気です。自覚症状がないからといって、自信過剰は禁物。成人病が気になる中・高年サラリーマンにとって、日ごろの予防こそ肝心だということです。
 キーワードは、中国漢方でいう「お血(おけつ)」です。もともとスムーズに流れるべき血液が、ストレスや運動不足、飽食などの原因によって流れなくなったり、流れにくくなった状態がお血です。とりわけ循環器障害に属する高血圧、脳卒中、狭心症、心筋梗塞には、いつもお血の症状が見られます。
 このお血の考え方とペアで理解していただきたいのが、お血を取りのぞき、血の流れを改善する「活血化お(かっけつけお)」という治療法です。
 だれにでも気軽に実践できるのが食事療法。活血化おの働きのある食べ物を、毎日、バランスよくとることです。お血を改善する、つまり血小板凝集を抑制し、血液の流れをサラサラにする作用の強い食べ物としては、野菜・果物ではシシトウ、ホウレン草、カブ、パセリ、セロリ、ニラ、たまねぎ、ねぎ、トマト、シソの葉、メロンなど、総じて色素の強い緑黄色野菜とねぎの仲間に、血栓予防の強い効果があります。また、野菜以上に強い抗血栓作用をもっているのが、イワシやサバなどの海の青さかなです。それも、あぶらの乗った旬のものが最高です。
 これらの食べ物をどれくらいとれば、血栓症は防げるのでしょう。旬のイワシなら、毎日70グラムを食べればまず安心。連日イワシづけというわけにもいかない部分を、予防効果のある野菜で補っていくことになります。
 しかし、血液サラサラの効果はあまり長く持続しません。魚の効果は比較的長く、一日おきでも十分ですが、野菜はわずか5〜6時間で体外に排せつされまず。したがって、少量でも食事ごとにとっていく必要があります。
 中国には、日常の食事の配慮で病気を未然に防ごうという思想がいきわたっています。古代周王朝の文献には、食事指導で未病をなおす「食医」が、あらゆる医師のなかでも最高ランクにあります。健康づくりは、食事が基本ということです。
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)