藤本 肇

(漢方ジャーナリスト) 健康雑誌・書籍などを中心にフリーライターとして活動し、 特に中国の漢方(中医学)事情に詳しい。編集制作会社 「プラスワン」代表

【第9回】

人気急上昇の「気功」病気治癒力を高める
自分に適した法を選択


 神秘ブームも手伝ってか、ここ数年、気功の人気が急上昇しています。書店の健康書コーナーには、気功に関する入門書がズラリ。なかには神秘性を強調するあまり、オカルトまがいのものまであっては、本選びも慎重にならざるをえません。もともと気功は、漢方と同じように、中国数千年の知恵から生まれた健康法です。
 気功の「気」とは、人体にとってその活力を維持するために欠かせない生命エネルギー、「功」とは中国語で、訓練して会得した技能のことをいいます。
 東洋医学における基本的な考え方として、体内には、生まれながらにもっている発育の生命力(先天の気)と、食物や空気など生命を維持するために必要な活力(後天の気)があり、この二つが合体してできた気(生命エネルギー)が、身体中をくまなく巡っているとされています。この気の流れが停滞したり、気の力がパワーダウンした状態を、古人は気が病む、すなわち病気と呼んだわけです。
 本場中国には、2000種以上の気功術の流派があるといわれています。それは「硬気功」と呼ばれる武術気功と、「軟気功」と呼ばれる医療気功に大別され、さらに医療気功は、みずからの気を相手に照射し病気を治す「外気功」と、みずからの病気治癒力を高めるための「内気功」に二分されます。健康書などで語られるのは、このうちの「内気功」です。では、この気の鍛練を、一朝一夕にマスターすることは果たして可能なのでしょうか。
 結論から言うと、入門書をペラペラとめくる程度でそのコツを会得するのは、大変難しいということです。取り組む相手は、目に見えない存在です。やはり専門家の正しい指導がなければ、経絡の流れを活発にして健康状態を改善したり、病気を治すといったレベルにまでもっていくのは並大抵のことではありません。「気功も正しくマスタ−しないとラジオ体操程度の効果しか期待できません」と手厳しいのは日本気功協会(TEL 3261-7871)の山本政則理事長。
 気功ブームのなか、わが国でも気功関連の団体やカルチャースクールの数は、200とも300ともいわれています。そのなかには、悪徳商法まがいのニワカ気功塾がないとはいいきれません。「どの気功法が自分に最も適しているか、その選択はなかなか難しいものです。いくつかの教室を見学し、生徒さんの意見も参考にすべきでしょう」と日本気功協会の指導員はアドバイスしています。
(藤本 肇・漢方ジャーナリスト)